国際情勢と経済戦略

戦略的立場を方針としています。世界一流の専門家たちの分析は・・英文情報で国際情勢・軍事と世界・日本経済の解説記事を紹介します。
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2013年05月

▲悒奪献侫.鵐匹論菠主導で日本の国債市場を動かしている

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http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/37842380.html


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世界的なヘッジファンドの一部に限られた動きである。
(中略)
これが国債市場にとって、一番危険なシナリオだ。この話は、まもなく刊行される拙著「ハイブリッド・バブル」で詳細に分析したが、重要なのは、まともな投資家が国債市場から退出し、乱高下をチャンスととらえるヘッジファンドなどが、国債市場の取引ウェイトを上げていくということが起きていると言うことだ。これは、長期的には、国債市場を日銀だけが買い支える安楽死へと向かわせることになる。
(中略)
危険な流れが金融市場に生まれている。

株価上昇の裏で進む「日本売り」のシナリオ―国債価格の乱高下で明らかになった、危険な兆候−(小幡績 5月16日 東洋経済)
http://toyokeizai.net/articles/-/13983

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     ■ 結: 日銀と世界最大級のヘッジファンド

久保田氏は前述の5月15日の記事のなかで、「ここで注意したいのは、10日の欧米の債券市場でも国債利回りが上昇していたことである」と指摘している。5月10日の日本の国債市場で利回りが乱高下した同じ日に、米国、ドイツ、フランス、オランダ、オーストリア、英国でも、大幅に国債利回りが上昇していた。

この10日の世界同時(同日)の大幅な利回り上昇があった事実からは、ヘッジファンドの中でも世界的規模で売買を行うグローバル・マクロファンドがすでに日本の<国債市場>に参入している可能性が考えられる。2月のフィナンシャル・タイムズでは、日本の<株式市場>にグローバル・マクロファンドが参加しており、それらのグローバル・マクロファンドが、やがて日本で起こるであろう債券から株式への資金の流れの中で大儲けを狙ってくる可能性が示唆されていた。

安倍トレードで復活するマクロ・ヘッジファンド (2月14日 フィナンシャル・タイムズ)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM14053_U3A210C1FF1000/

日本への参加が予期される(またはすでに参入していると思われる)<国債売り>のグローバル・マクロファンドの代表といえば、レイ・ダリオが率いる世界最大級のブリッジウォーターが筆頭として挙げられるだろう。ブリッジウォーターは2011年の世界のヘッジファンド業界でトップの最高収益を上げている。
レイ・ダリオは2012年12月にニューヨークタイムズが主催した「DEALBOOK」と呼ばれた投資討論会で、「債券の空売りは最大の投資機会だ」と公言し、米国メディアの注目を浴びた。5月16日の米CNBC放送でもキャスターやコメンテーターから「彼は転覆を予測している、グランド(グレート)・ローテーションのことだ」とコメントされている(※ 「グレート・ローテーション」:大循環。債券から株式などへの世界的規模の資金のシフト)。

Biggest Opportunity Will Be Shorting the Bond Market: Dalio (12月12日/2012年 CNBC)
http://www.cnbc.com/id/100307150
[Video] Dalio Cash & Bonds 'Terrible' Investments (5月16日 CNBC)
http://video.cnbc.com/gallery/?play=1&video=3000169330
Ray Dalio Cash, Bonds 'Terrible' Investments (5月17日 ValueWalk)
http://www.valuewalk.com/2013/05/ray-dalio-cash-bonds-terrible-investments-video/

レイ・ダリオは、2012年には米国債とドイツ国債と日本円に対して売りポジションで高収益を収め、今年初めのアベノミクスの開始とともに大規模な円売りを行って多大な収益を得ている。3月20日の米金融投資サイト・バリューウォークによれば、アベノミクス開始以降、大量の円売りをしている米国の2大マクロファンドとしてフォートレス・インベストメントとダリオのブリッジウォーターが挙げられている。

Fortress Joins Many Other Hedge Funds Shorting The Yen (3月20日 ValueWalk)
http://www.valuewalk.com/2013/03/fortress-begins-shorting-yen-possible-further-weakness/
Ray Dalio's Bridgewater Shorts Japanese Yen (2月13日 ValueWalk)
http://www.valuewalk.com/2013/02/ray-dalios-bridgewater-shorts-japanese-yen/

またダリオのブリッジウォーターは、ウォール街で「グレート・ローテーション」の議論が活発に行われた今年1月から、積極的に世界各国の株式を買い上げている。

日銀は5月23日の国債金利の急騰で、2.8兆円の資金供給を市場へ通知し金利の混乱の応急措置を図ったが、日銀が、金利が上昇するたびに国債買入れオペを増額していけば、それはより多くの海外投機筋を集め、最終的にヘッジファンドなどに収奪され、日銀はヘッジファンドや外資にとって「大量のマネーが噴き上がる収益源」となる。
前述のフィナンシャル・タイムズで、「潜在的な次の収益源」として日本の国債市場をヘッジファンドがターゲットにし始めているとジョウンズ氏が言ったのは、まさにこのことだ。

黒田総裁も安倍総理も「市場との対話をしていく」「市場関係者との意見交換をしていく」と繰り返しているが、ヘッジファンドや海外投機筋と会話し意見交換することなどできるわけないのだから、すでに無策に陥ったと同然だ。


■ 関連記事

日本の国債市場の混乱は、もっと激しくなる (5月17日 東洋経済)
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/805.html

■ 関連記事: 拙稿

S&P:「日本国債の格下げは3分の1以上の可能性」 ムーディーズ:「アベノミクスの活況は一時的なもの」(2013年5月9日)
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/735.html

クレディ・スイス:円安による輸出増は限定的=「円安で貿易赤字は拡大へ」「赤字構造が定着した貿易収支」(2013年5月6日)
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/721.html

「安倍総裁は『借金爆弾』大爆発の引き金を引く」−と国債暴落の仕掛け人カイル・バスが予告(2012年12月1日)
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/699.html





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.悒奪献侫.鵐匹論菠主導で日本の国債市場を動かしている

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レイ・ダリオ:「債券の空売りは最大の投資機会だ」と公言している、世界最大級のヘッジファンドのファウンダー


目次
 ■ 債券先物主導による国債現物市場の混乱
 ■ アベノミクスで日本国債トレーダーが増加
 ■ 結:日銀と世界最大級のヘッジファンド


自民党安倍政権と黒田日銀は、「世界で最も不安定でリスクの高い金融市場」(モルガン・スタンレー、米CNBC)を作り出した。世界各国の金融緩和が広範囲に広がるなか、世界で最も危険な金融緩和によりマネーがバラ撒かれる日本へ、世界中からいまもヘッジファンドが集っている。

4月4日、黒田日銀の「異次元緩和策」の決定で「世界で最も不安定でリスクの高い<国債市場>が、日本の政策立案者たちによって作り出された」(米CNBC)。この黒田日銀の「異次元緩和策」の決定により、ヘッジファンドなど海外投機筋や外国金融機関が、日本の国債市場を急速にターゲットとする動きが起こっている。


     ■ 債券先物主導による国債現物市場の混乱

東京証券取引所の4月の「投資部門別 国債先物取引状況」によると、国債先物を売買する海外投資家は全体の37.9%を占める。

投資部門別 国債先物取引状況 (4月1日〜4月26日)
http://www.tse.or.jp/market/data/sector/b7gje6000000jkrj-att/J_jgbf_m1304.pdf
国債先物取引・国債先物オプション取引
http://www.tse.or.jp/market/data/sector/index.html

5月10日、5月13〜15日に日本の国債市場で起こった利回りの乱高下について、金融アナリストの久保田博幸氏はすでに、ヘッジファンドなどの海外投機筋が「債券先物売り、株式先物買い」を仕掛けた可能性を指摘していた。久保田氏は日本国債の市場動向に詳しい。(久保田博幸−Yahoo!ニュース (5月15日)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kubotahiroyuki/20130515-00024959/

また久保田氏は、1143円の株価暴落と国債金利の乱高下が同じ日に起きた5月23日も、「まとまった債先売り・株先買い」とその反対売買が入った可能性があると指摘している。この<先物取引>での「債先売り・株先買い」(債券先物売り・株式先物買い)そしてその反対売買の「債先買い・株先売り」は海外勢がよく使う方法だ。これにより国債市場の乱高下と株式市場の乱高下、そしてそれに為替の変動を組み合わせて仕掛け、国債・株式の両市場から大きな利益を得られる。

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「23日の市場の動きと今後への不安」 (久保田博幸−Yahoo!ニュース 5月25日)
 http://bylines.news.yahoo.co.jp/kubotahiroyuki/20130525-00025192/

(引用開始)
5月23日の東京市場の動きは、記録にも記憶にも残るものであったと思われるので、少しまとめておきたい。

異変がまずあったのが債券市場。債券先物は寄付から前日比1円安と急落した。FRBが早ければ6月にも「出口」というか「正常化」に向けた動きをはじめる可能性が出てきたことで、22日に米国の長期金利が2%台に乗せたことがひとつの要因。22日の日銀金融政策決定会合後の黒田総裁の会見で、長期金利の上昇についてはそれほど懸念してはいないと認識され、これも嫌気されての債券売りであったと思われる。

債券先物は141円01銭に買い戻され、その後再び140円90銭まで売られて、8時53分にサーキット・ブレーカー発動し取引が10分間停止した。現物債は10年債主体に売られ、10年328回の利回りは1.000%ちょうどまで上昇した。つまり日本の長期金利が昨年4月5日以来の1%台となったのである。

FRBの出口が意識された外為市場では円安ドル高が進み103円台に。この円安もあって、23日の東京株式市場は買いが先行し、一時前日比300円を超す上昇となり、日経平均は16000円手前まで上昇した。

この一連の動きから、海外ヘッジファンドなどは103円台の円安と、それによる日経平均先物買い、同時に債券先物の売りを仕掛けていた可能性がある。22日の日米の中銀トップの発言は債券の売り材料ではあったが、先物のストップ安を誘うほどのものではなかったと思う。先物とともに現物はベンチマークの10年債主導の動きであり、メガバンクなどの動きが主導していたようにも思えず、海外投資家の仕掛け的な動きの可能性が高かったのではなかろうか。

債券は売り一巡後は買い戻され、日経平均は16000円手前で買いは止まり、上値が重くなった。動きがあったのが10時10分で、日銀はシグナルオペと言える1年物共通担保資金供給(全店、固定金利方式)を午後ではなく午前中にオファー、さらに国債入札日(流動性供給入札)にも関わらず国債買い入れ(残存期間1年以下と1年超5年以下)をオファーした。このシグナルオペに債券先物は反応し、債券先物は買い戻しが加速、反対に日経平均先物は戻り売りに押され、中国の5月製造業PMIの低下などもきっかけに下げ幅を拡大させた。

午前中のタイミングで、朝方の債先売り・株先買いのポジションをひっくり返してきた可能性がある。株式市場では次第に売りが売りを呼ぶような動きとなり、反対に債券は先物や10年債主導で、一気に上昇し142円台に。ただし、超長期債は14時以降はほとんど出合いなく、まさにディーリング相場となっていた。

日経平均先物は震災後の2011年3月15日以来のサーキッド・ブレーカーが発動し、結局、前日比1143円安と2000年4月以来の大きな下げ幅となった。

債券先物は142円74銭まで買い戻されて、大引けは61銭高の142円51銭。現物債は10年債が一時の1.000%から0.825%まで戻った。5年債は0.455%から0.355%と0.1%も当日中に利回りが低下した。以上が23日の債券と株の動きであった。
(引用終了)
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     ■ アベノミクスで日本国債トレーダーが増加

日本の国債市場では今後、海外ヘッジファンドが、海外投資家比率の高い債券先物市場で取引ウェイトをさらに大きくし、先物主導で不安定化する現物国債市場をさらに大きく混乱させていくことが予想される。現にこの5月の国債市場では、現物国債市場が債券先物市場につられる形で大きく乱高下し、影響を受けている局面が頻繁に起きている。

またヘッジファンド以外でも、先物現物を問わず、日本の国債市場を進出の対象へと乗り出してきている外国金融機関が、日銀の「異次元緩和策」決定以後、先月4月から増加しているようだ。

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世界的な巨大投資銀行を主な顧客とする、人材コンサルティング会社モーガンマッキンリーの熊沢義喜氏によると、外銀は日本国債のトレーディングや商品開発の専門家を募集し始めているという。

アベノミクスで日本国債トレーダー採用増加 (4月30日 フィナンシャル・タイムズ)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGV30001_Q3A430C1000000/
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英フィナンシャル・タイムズ誌では、ヘッジファンド業界に詳しいサム・ジョウンズ氏が4月の記事で、アベノミクスは多くのヘッジファンドを生き返えらせたと言っていた。彼の5月2日の記事では、日本に焦点を当てて多くの利益を上げているヘッジファンドの現在の状況を伝えている。下記はその記事の結びの部分だ(括弧内は私が記事文脈から補足)。

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Managers are even starting to look to Japanese government bond markets – which have so far proved resilient – as the next source of potential returns.

“A lot of people had moved out of shorting the yen and into the Nikkei this last month, so that paid off for them,” said Mr Lawler. “There are people who have now started to put on positions shorting JGBs. It’s very possible that could end up being the third big leg of this trade.”

ヘッジファンドのマネージャーたちは潜在的な次の収益源として、これまで弾力性を示してきた日本の国債市場にさえ目を向け始めている。

(GAMインターナショナルのポートフォリオ・マネージャーである)アンソニー・ローラー氏は次のように述べた。

「多くのヘッジファンド・マネージャーたちは、先月(4月)に、利益を上げるために円売りから離れて日経株の方へと移った。そして、いま、日本国債に売りポジションを置き始めている人たちがいる。日本国債は結局、日本での売買取引での(円、株につづく)第三の大きな足(第3の大きな収益源・市場)となることは非常に起り得ることだ。」

Japan-focused funds reap bumper profits on Nikkei and yen bets (5月2日 フィナンシャル・タイムズ)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/e51e57b0-b348-11e2-95b3-00144feabdc0.html#axzz2SEynwCwD
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5月10日、5月13〜15日に日本の国債市場で起こった利回りの乱高下について、慶応義塾大学准教授の小幡績氏はヘッジファンドの一部が仕掛けた可能性を指摘していた。


◆次ページへ: 2
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/37842410.html

日本国債 S&Pとムーディーズの格下げはいつ来るか

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米英格付け機関は8月までに発表される日本の財政再建計画と、来月6月に日本政府によって発表される成長戦略を非常に注視している。

4月4日の黒田日銀総裁の「異次元緩和策」決定の発表を受けて、格付け会社S&P(スタンダード&プアーズ)とムーディーズは、安倍政権下での日本経済に対する見解を表明。それらのレポートの概要をロイターが伝えている(※ 格付け機関のレポートはフリーファイルではない)。

まずS&Pについてはロイターが、

日本ソブリンの先行き信用力、政府の経済再生戦略が成否=S&P (4月23日)
http://jp.reuters.com/article/jpeconomy/idJPTYE93M01P20130423

S&P says more than 1/3 chance of Japan downgrade, cites risks to Abenomics (4月22日)
http://www.reuters.com/article/2013/04/23/japan-sp-idUSL3N0DA0ID20130423

これらの記事のなかでS&Pは今回、日本国債が格下げされる可能性が3分の1以上であるとしている。

ロイターの日本語版では「格付けのアウトルックは引き続きネガティブで、格下げとなる確率が3分の1以上との見方を変えていない」となっているが、S&Pが日本国債に対して「格下げ確率を3分の1以上」と言及したのは、アベノミクスが動き出してからの今回が初めてのはずである。日本語版のこの箇所は誤りだと思う。英語版では最初の書き出しはストレートである。

「スタンダード&プアーズは火曜日に、日本国債を格下げする可能性を3分の1以上とした。その理由は経済成長の回復とデフレの終息が成功するかどうか不確実なためである。」

(安倍政権発足後の2月18日の報道では、S&Pによる「格下げの可能性3分の1以上」の言及はなく、アウトルックの方はネガティブとし据え置いていた。今回、ロイターのほか米金融専門局CNBCのサイトでも「格下げは3分の1以上の可能性」を記事のタイトルに入れて報道している。)
(S&P:日本国債格付けを据え置き−見通しは引き続き「ネガティブ」 2月18日 ブルームバーグ)
 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MIEF8C6JIJUV01.html

そしてムーディーズの方の見解は、アベノミクスに対しS&Pよりもさらに厳しい見方のようである。

「(日銀の)緩和策は、信頼に足る構造改革および財政再建計画を日本政府が実施するまでの時間稼ぎにしかならないとの見解を示した。
また、日銀の大胆な緩和にリスクがないとは言えず、成長を促進できなかったり、日本国債市場の不安定化につながったりした場合には、国債利回りの上昇をもたらす可能性もあると警告。」

(日銀の緩和策、構造改革が実施されるまでの時間稼ぎ=ムーディーズ / 4月8日 ロイター)
 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE93701Q20130408

そして下記の記事は、ムーディーズ・シンガポールの上級副社長らによって書かれた記事の抄訳であるが、ムーディーズが4月4日に出した“Credit Analysis Japan”という題名のレポートの一部を説明している(括弧内は私が補足した)。

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Moody's: Japan's rating reflects affordability of government debt (4月9日 ムーディーズ・シンガポール)
http://www.moodys.com/research/Moodys-Japans-rating-reflects-affordability-of-government-debt--PR_270137

もし持続的な財政構造が整わないならば、日本国債への信用が最終的に揺らぐだろう。
日本の現在の状況において、最も深刻なリスクは日本国債の資金調達の危機であるだろう。私たちは日本の低コストな資金調達に、やがて危険にさらされる転換点がくるだろうと見ている。
(中略)
日銀は大胆に(政府と)協調的な政策を始めているが、今の円安の流れにおいて、経済の再浮揚に対する円安の効果は長続きしないだろう。またこの円安の流れは、信用度のある財政強化政策と補完的な供給サイドの経済改革が行われないまま、その意図するのとは反対に否定的な結果を導くかもしれない(“may lead”:約50%)。

安倍晋三首相の政策は今のところ順調である。それらは国内を対象に向けられたものではあるが、円安の進行は輸出と企業の収益性を押し上げている。しかしながら、その早急な活況は一時的なものでありそうだ。

それゆえ安倍政権から年央(6〜8月)に発表される中期的な財政再建計画と成長戦略は、今後の日本の信用度を示唆することになるだろう。つまり、より速いペースの経済成長が期待できれば、財政問題は今より管理しやすくなる。しかし一方、弱い経済成長が続き、累積債務が増えていくようであれば(国債の)信用度は否定的なものになるだろう。

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このムーディーズの記事では、円安による経済の浮揚効果は長続きしないという見方をしている。この円安の進行について大手金融機関クレディ・スイス証券は今年2月、3月のレポートでムーディーズ以上の悲観的な見方をしており、円安による輸出数量の伸びは限定的なものであり、現在の日本では、円安の進行は趨勢的に貿易赤字を悪化拡大させる方向へ作用すると分析している。
(クレディ・スイス証券:「日本経済分析」・「日本経済アドバイザー」シリーズ 日本語版)

クレディ・スイス証券:円安による輸出増は限定的=「円安で貿易赤字は拡大へ」「赤字構造が定着した貿易収支」= (5月6日)
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/721.html


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▲レディ・スイス:円安による輸出増は限定的−円安で貿易赤字は拡大へ−

前ページへ:1
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/37787882.html


1-3月期の円安によって利益増の恩恵を得た輸出企業が、4-6月期〜7-9月期にかけて、外貨建て値下げや販売促進を打ち出し、輸出数量がある程度伸び始める可能性はある。米国製造業ISMなどが好調さを維持していることからみても、3月以降は循環的な輸出数量の回復が始まる余地がある。このため、年央にかけて、更なる円安化や国際商品市場の高騰などが生じなければ、交易条件が一定の下、貿易収支は一時的に赤字幅を縮めると見込まれる(図表 18)。しかし、秋以降の貿易収支は、輸入数量の増加トレンドと交易条件の悪化トレンドの影響を受けて再び悪化し、2013年の貿易赤字(通関ベース)は10.4兆円(GDP比率−2.1%)と2012年の6.9 兆円赤字(同−1.4%)から大幅に拡大するものと予想される。

4. 経常収支への示唆 (8ページ)

以上のように、円安によって貿易収支は悪化する可能性が高い。経常収支が悪化を免れるには、円安によって対外資産からの利子・配当受取である所得収支黒字の円建て額がどれほど増加するか、が鍵となっている。しかし、1 月の国際収支統計では、季節調整済みの所得収支黒字は前月比−0.2%とむしろ減少していた(図表 19)。所得収支黒字の増加が限定的であれば、円安によって経常収支も悪化する。実際、通関統計の貿易収支実績を基に計算した場合、2月の経常収支(季調済)は114億円程度の赤字と、統計開始以来2度目の季調済赤字となる見通しである。

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日本経済分析 第37号 クレディ・スイス証券 2013年2月22日

円安で貿易赤字は拡大へ
https://plus.credit-suisse.com/researchplus/ravDocView?docid=EkCCzQ

(概略) (1ページ)

• 円安は交易条件を悪化させる可能性が高い。輸出品よりも輸入品の外貨建て比率が高いことなどから、輸入価格の方が輸出価格よりも名目為替レートに対する反応が大きいためである。このため、円安の貿易収支への影響については、最終的には、輸出数量がどれだけ刺激されるか、に依存する。

• 直感的には、円安は価格競争力の向上を経由して輸出数量を持ち上げるように思える。しかし、実質実効為替レートと輸出数量の関係をより詳しくみると、両者の関係は“飽和点を持つ非線形的なもの”である可能性が高いことがわかる。すなわち、円安(実質実効円安)による輸出数量の押し上げ効果は、円安の進展とともに逓減するものとみられる。

• 見逃してはならない事実は、2009〜2012年の名目円高局面では、輸出価格の下落により、実質実効為替レートはさほど上昇しなかった(2005〜06年と同水準に止まった)という点である。このため、足元の急激な円安を反映した実質実効為替レート水準は、既に、「円安の輸出数量押し上げ効果が明確に逓減し始める閾値」の近傍にまで低下してしまっている。このことは、円安によって見込まれる輸出数量押し上げ効果がかなり限定的なものになる可能性が高いことを強く示唆している。

• このように、足元の円安の輸出数量押し上げ効果は限定的なものになると考えられるが、このことは、円安が鉱工業生産や労働時間・雇用水準に与える効果も小さい可能性が高いことを意味する。円安が経済活動水準の上昇を経由してインフレ的な圧力をもたらすシナリオは描きにくい。

• 輸出数量の反応が限定的なものになるという経済構造を前提に、円安ショックが名目貿易収支に与えるインパクトをシミュレートすると、2013年1-3月期におけるドル円相場の10円上昇(83円→93円)は、2013年度の名目貿易収支(名目GDP)を約−1.31兆円(GDP比−0.27pp)悪化させる、と計算された。


(以下は4ページ目)

したがって、ここでも円安が一定以上に進むと輸出刺激効果が逓減してくると同時に、一定以上の実質円高となっても、その輸出阻害には下限がある可能性が示唆される。

(3) 日本製品の必需性と飽和

このように、実質為替と輸出数量との関係にはある程度の下限と上限があると示唆されるが、その背後にあるメカニズムは、製品差別化による日本製品の必需性と飽和であろう。例えば、日本製品が既に高いシェアを占めているある種の光学機器、電子部品やハイテク素材などについて、世界GDPなどの最終需要要因を一定として、単にドル建て価格が値下がりしただけで、その製品に対する需要が劇的に増えることは考え難い。すなわち、そもそも平均的な日本製品がある程度差別化1されていることを考えれば、その需要量と為替の関係には飽和点があり、ある一定以上に円安となっても海外からの需要がさほど増加しないということが考えられる。同様に、円高が一定以上に進んでも、最終製品の製造過程で技術的に差別化された日本の中間製品がどうしても必要であれば、短期的には、その輸出数量が劇的に減ることはないであろう。もちろん、全ての貿易財がこのように差別化に成功しているわけではなく、実質実効為替(つまり、外貨建て売値)に依存して製品シェアが大きく変動する財も少なくないだろう2。しかし、マクロの輸出量を見た場合には、円高と円安の両端において、上述のような必需性と飽和の傾向がある程度見て取れる。


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.レディ・スイス:円安による輸出増は限定的−円安で貿易赤字は拡大へ−

転載記事(抜粋)
 ■ 赤字構造が定着した貿易収支(クレディ・スイス証券)
 ■ 円安で貿易赤字は拡大へ  (クレディ・スイス証券)


アベノミクスが大きな売り物にしていた円安による輸出パワー。
しかし、輸出数量指数はアベノミクスで<大幅な円安>が進んでからも、依然として低迷し前年比でマイナスが続いている。中国・欧州などの海外要因もあるが、昨年3〜5月は3〜9%台のプラスであった。
昨年春からの輸出数量指数の推移は前年同月比(%)で、

2012年3月:+3.6 4月:+4.7 5月:+9.3 6月:−2.4 7月:−10.3 8月:−4.3 9月:−11.1 10月:−8.1 11月:−7.5 12月:−12.2 2013年1月:−5.9 2月:−15.8 3月:−9.8

貿易指数統計>貿易指数の推移表(財務省)
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/OtherList.do?bid=000001008860&cycode=1

最近になって日経で、「円安は本当に輸出を増やすのか 」という編集委員によるコラム(4月17日)があった。
日経も含めマスコミでは「円安が輸出増に結びつくのにはタイムラグがある」と指摘されているが、この円安と輸出の問題、そして現在の円安が貿易収支へ与える影響ついて、クレディ・スイス証券が詳細な分析をしており(日本語版)、3月28日のレポートでは日本の貿易収支は<赤字構造が定着化した>と強い警鐘を鳴らしている。

円安で貿易赤字は拡大へ (2月22日)
https://plus.credit-suisse.com/researchplus/ravDocView?docid=EkCCzQ

赤字構造が定着した貿易収支 (3月28日)
https://plus.credit-suisse.com/researchplus/ravDocView?docid=K0yCHy

また小幡績氏(慶応義塾大学准教授)は、黒田東彦・日銀総裁の元同僚でもある志賀櫻氏(元財務省主計官・東京税関長)との対談で次のように述べている。

「アベノミクスによる実体経済への影響は円安がすべてですが、円安でも輸出は上向いていません。この3月も、輸出額は1.1%微増したものの、数量ベースでは前年同月比9.8%マイナス。円安でも輸出は伸びず、円換算の企業の利益が増えるだけで、数量が伸びなければ生産も雇用も増えることはない。」

(「2人の財務省OBが「アベノミクスの正体」を冷静に解析する」 4月30日 週刊ポスト)
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/705.html

私が上記のクレディ・スイス証券のレポートを知ったのは、4月19日のビジネス・インサイダーの記事からであった。

Why The Cheap Yen Isn't Boosting Japan's Exports
http://www.businessinsider.com/credit-suisse-yen-down-exports-down-2013-4?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+TheMoneyGame+%28The+Money+Game%29&utm_content=Google+Reader

この記事中には、クレディ・スイス証券が4月に公開した別のレポートからの引用がある。

「円安にもかかわらず輸出の伸びが低迷していれば、なお一層の円安が進み、その円安が引き金となり国内貯蓄の海外流出と金融市場の不安定化を加速させる。」

この記事はWebサイト「ファイナンシャリスト」からの転載であるが、最後にこのコラムニストは、

「アベノミクスで、円安は逆回転を始める」

と言っている。つまり、

円安の進行で、やがてアベノミクスは逆回転を始めるということだ。


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(※)以下に掲げる2つの記事は、クレディ・スイス証券の2つのレポートからの抜粋である。それらの概略部分の記載の全文を含めて掲載し、各々にその記載ページを付した。抜粋文の中で図表番号がたびたび出てくるが、資料のグラフを掲載できなかったので原文を開いてみることをお勧めしたい。多くの解析グラフが参考になるかと思う。

2月22日のクレディ・スイスのレポートの中の「(3) 日本製品の必需性と飽和」は、前述のビジネス・インサイダーでも取り上げられ、現在の日本の円安と輸出との関係の問題を考えるのに重要な要因であると考えられる。

【参照】
円安なのに輸出量が激減する日本経済(野口悠紀雄 東洋経済 4月6日号)
http://toyokeizai.net/articles/-/13514
普通貿易統計(財務省)
http://www.customs.go.jp/toukei/info/tsdl.htm
貿易指数統計>貿易指数の推移表(財務省)
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/OtherList.do?bid=000001008860&cycode=1
貿易指数統計>貿易指数表(財務省)
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/OtherList.do?bid=000001008816&cycode=1

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日本経済アドバイザー クレディ・スイス証券 2013年3月28日

赤字構造が定着した貿易収支
https://plus.credit-suisse.com/researchplus/ravDocView?docid=K0yCHy

(概略) (1ページ)

• 弊社日本経済分析第37 号(2月22日付)の分析からは、「円安によって貿易赤字が拡大する可能性が高い」ことが予期されていたが、2月の通関統計は季調済で過去最大の貿易赤字(1兆866億円)を記録した。貿易赤字拡大の背後では、(1)交易条件の悪化、(2)輸出数量の低迷、(3)輸入数量の増加基調が続いている。

• より深刻な問題は、依然小幅ではあるが、日本の貿易収支が数量ベースでも既に赤字に転じており、赤字幅がジワジワと拡大していることである。数量ベースの赤字が構造的に定着すれば、円安は貿易赤字額を拡大させる。円安で交易条件は悪化するからだ。

• 前回景気回復期において貿易黒字額がピークを記録をした2007 年7-9月期から直近2013 年1-2月までの貿易収支(季調済、年率換算)の変化を振り返ると、輸出金額の大幅縮小と輸入金額の小幅増加によって収支が大きく悪化したことが確認される。

• このうち、輸出金額の大幅縮小には、数量要因と価格要因が概ね同程度に寄与し、空洞化進展の影響が大きいことが示唆される。他方、輸入金額の小幅増加は価格上昇による部分が主体であるが、輸出数量減少にもかかわらず、輸入数量はほぼ横這いであり、輸入浸透率の趨勢的な上昇が観察される。

• 年央にかけては輸出数量が循環的にある程度伸びる可能性があり、貿易収支はごく一時的に改善するものと見込まれる。しかし、数量ベースでの貿易赤字が定着しつつある状況下、貿易収支の趨勢的な悪化傾向が反転する可能性は低い。

1. 2013 年2 月の貿易収支 (2-3ページ)

2月の通関統計は季調済ベースで過去最大の貿易赤字を記録した。すなわち、貿易赤字額は1 兆866億円となり前月の7,373 億円から大幅に拡大、2012 年9月の9,838 億円を上回って過去最大となった(図表 1)。グローバル生産循環は回復局面の半ばにあり、輸出数量の循環的な回復が見込まれていたが、弱い状態が続いている。より深刻な問題は、小幅ではあるが、日本の貿易収支が数量ベースでも既に赤字に転じており、赤字幅がジワジワと拡大していることである(図表 2)。数量ベースの赤字が構造的に定着すれば、円安は貿易赤字額を拡大させる。円安で交易条件は悪化するからだ。

弊社日本経済分析第37号(2月22 日付)の分析からは、「円安によって貿易赤字が拡大する可能性が高い」ことが予期されていた。円安発生から2 ヵ月経ったデータをみる限り、円安は実際に貿易収支を悪化させたと判断される。具体的には、2 月の輸出金額は季調済前月比で+1.3%増加した一方、輸入額は同+6.8%と、輸出を上回って拡大した(図表 3、4)。輸入については、価格、数量ともに2月に増加に転じている。

貿易赤字拡大の背後では、(1)外貨建て比率の高い輸入価格の上昇ペース(2月: 前月比+2.7%)が輸出価格のそれ(同+1.9%)を上回っており、交易条件が悪化している(図表 5)ほか、(2) グローバル生産の循環的回復と円安による競争力の改善があるにもかかわらず、輸出数量の回復がみられない。すなわち、輸出数量指数(弊社による季調値)は前月比− 0.6%と1 月の− 0.2%に続いて減少となった(図表 3)。さらに、(3)輸入数量は高齢化・空洞化などを背景に増加トレンドを続けており、2 月は同+4.0%と大幅なプラスとなった(図表4)。
ちなみに、輸出数量の内訳をみると、化学製品、一般機械、科学光学機器のリバウンドを背景に米国向けの輸出が回復した一方で、中国、EU、その他アジア向けの輸出数量は引き続き弱含んでいる(図表 6、7)。一方、輸入数量の内訳をみると、足元2 月では、鉱物性燃料、食料品、化学製品などの増加が目立った(図表 8)。
(中略)

3. 先行き見通し (7ページ)

以上を踏まえると、過去5 年半に亘る貿易収支悪化要因のうち、円安による改善が見込めるのは輸出価格の上昇に限られると示唆されよう。産業空洞化は、新興市場経済を最終消費地とするビジネス・チャンスを求めている(内外成長率格差に起因する)部分が大きいとみられるが、サプライ・チェーン構造の変化を伴いつつ不可逆的な動きとなっており、そのトレンドが反転する可能性は低い。

一方、輸入数量は高齢化・空洞化等を背景に今後も緩やかな増加トレンドを辿るだろう。また、輸入金額増加の主因であった輸入価格の上昇は円安によってさらに加速することになる。外貨建て比率の高い輸入価格の上昇ペースは、輸出価格の上昇ペースを上回るのが自然であり、交易条件の改善は望めない。高齢化・空洞化によって数量ベースの貿易収支は既に赤字に転落しているが(図表 17)、数量ベースでみた構造的貿易赤字が定着すれば、円安の下でも貿易収支は悪化を続けるだろう。


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http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/37787930.html
張 良

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執筆予定 2019.8.20 記
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