国際情勢と経済戦略

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2010年12月

北朝鮮・中国攻撃では、特殊潜水艦とステルス爆撃機が主力となる

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(上写真は米海軍の巡航ミサイル原子力潜水艦「ミシガン」。サムネイル写真左はB2ステルス爆撃機。)


北朝鮮の金正日は12月9日、訪朝した中国の戴秉国国務委員(副首相級)と平壌で会談し、緊張緩和へ中朝間のパイプが動き始めた。「だが北朝鮮の対応は読み切れず、調整の行方はなお予断を許さない。」(日経 12月10日)

北朝鮮は(12月)7日にも労働党機関紙「労働新聞」が「流血の衝突を避けて南北統一問題を平和的に解決する方法は対話と協商だ」とする論説を発表。北朝鮮専門家の間では、対話再開への含みをちらつかせ始めたとの見方も出る。(中略)硬軟両様で関係国を揺さぶるのは北朝鮮の常とう手段で、今回もどちらに軸足を置くかはまだ見せてはいない。(日経 12月10日」)

米中両政府は10日、ワシントン郊外の米国防総省で約1年半ぶりとなる国防次官級協議を開き、高官レベルによる米中軍事交流を本格的に再開した。米国はフロノイ国防次官(政策担当)、中国は人民解放軍の馬暁天副総参謀長が参加。(日経 12月11日」)


金正恩への後継者体制確立のためにアメリカ政府との直接交渉を目的としている北朝鮮は、延坪島砲撃事件で中国を動かし、北朝鮮問題を放置していたオバマ政権との瀬戸際外交を始めることになるのだろうか。オバマ政権寄りのシンクタンクのHPを読むのをためてしまい何とも言えないが、中国は14日から訪中する米訪問団のスタインバーグ国務副長官に、北朝鮮との会談の結果を説明するよう要請されていたようだ。アメリカの北朝鮮政策の主導権は米国防総省ではなく、ブッシュ政権後半から米国務省が握っている。

11月下旬から12月10日まで米韓、日米の2つの合同軍事演習が行われたが、12月8日、米軍のマレン統合参謀本部議長がソウルを訪問し、「日本が今後、米韓軍事合同演習に参加するなど、東アジア域内での役割を果たすよう求めた」という発言をしている。
産経新聞のワシントン駐在の古森義久氏によれば、現在、米国議会では日本の憲法9条を改正するべきだという考え方が多数派となってきているという。東アジアの集団的自衛権行使の観点から言っても、日米防衛協力の推進のためにも「日本が憲法を改正すべきだ」という意見が「米国議会の一般的な思潮」となっているそうだ(JBpress 12月9日)。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5018

米韓日の合同軍事演習では、テレビ報道でもジョージ・ワシントン原子力空母の姿とともに艦載機の離発着シーンが映し出され、壮観な光景だった。
ただし、「ジョージ・ワシントン」空母を参加させた北朝鮮へ向けたこの合同軍事演習は、パフォーマンス(演出劇)もしくは「空母外交」としての手段に過ぎず、実際の有事の際は、膨大な破壊力をもつ巡航ミサイル原子力潜水艦(SSGN)とB2ステルス爆撃機が主力となる攻撃体制がとられるようだ。アメリカ海空軍に多くの人脈を持つ、米ハドソン研究所の日高義樹氏の最新の著作レポートでそのことが述べられている(『アメリカにはもう頼れない』 2010年10月末刊)。

米軍のアジア・太平洋戦略においては、グアムが地域における軍事戦略のハブとなっている。

米軍の新アジア・太平洋戦略 (2010年10月23日)
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/33607093.html

米軍の無人偵察機「グローバルホーク」が送ってくるリアルタイム情報を基に、巡航ミサイル原子力潜水艦(SSGN)とB2ステルス(探知されない)長距離爆撃機が北朝鮮を攻撃する体制は、中国との戦争に対しても用いられるという。B2ステルス長距離爆撃機はグアムに配備されており、尖閣問題が騒がれていた今年9月下旬同じくグアムに配備された無人偵察機「グローバルホーク」も、今後は3機体制となる。

「ジョージ・ワシントン」などアメリカの空母について付け加えると、中国はすでに、船舶に最新鋭のミサイルを乗せ空母を攻撃する体制を作り上げている(前出書)。

巡航ミサイル原子力潜水艦(SSGN)「ミシガン」は、150発余りのクルージングミサイルと海軍特殊部隊60人を乗せる特殊潜水艦で、アメリカ海軍は保有する4隻の「ミシガン」タイプの特殊SSGNのすべてをグアムに配備している。「ミシガン」には核ミサイル「トライデント」が数本搭載されているとされている。核戦略の大家であるシュレジンジャー元米国防長官は日高氏に、

「冷戦が終わって、ミサイル潜水艦の核ミサイルは北京と中国本土の軍事拠点に照準が合わせられている」

と語ったことがあるそうだ。

このような北朝鮮や中国に対するアメリカの軍事戦術は、空海軍の統合戦力を高める「統合エアシーバトル構想」からくる作戦になっている。

「統合エアシーバトル構想」
 http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/33607093.html


DOMOTO
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html

「核テロ」想定の北朝鮮はアフガニスタン情勢を利用する

    ■ 北朝鮮による「核テロ」の想定

北朝鮮が南北境界水域に近い韓国の延坪島を砲撃して12日が過ぎた。
12月2日に米韓合同軍事演習がひとまず終り、昨日から日米共同軍事演習が始まった。

軍事力の比較だけで言えば、アメリカ軍の空海軍と在韓米軍は北朝鮮に対して圧倒的な優位にあるが、北朝鮮には「貧者の兵器」と呼ばれる「核テロ」という最終オプションがある。「核テロ」については今回の緊迫状況で韓国の朝鮮日報が、「核物質分散の恐れがある」として目立たない表現で掲載した。

11月12日に北朝鮮はヘッカー氏にウラン濃縮施設を公開したが、濃縮ウランは強い放射能を放出するプルトニウムと違い運搬が比較的可能で、アルカイダの至上目標の一つはパキスタンからの濃縮ウラン物質の入手だとされる。

「米国内で核テロ攻撃が起きるのは「時間の問題」―ブルッキング研究所―」(2007年8月)
 http://otd9.jbbs.livedoor.jp/911044/bbs_plain?base=277&range=1

私は2003年7月に「阿修羅」サイトで、北朝鮮による「核テロ非対称戦」を推測し、

「北朝鮮は核テロを使った非対称戦こそ、アメリカに対する必勝の方法であるとし、核テロと核兵器開発を両輪とする核戦略を推し進める」
 http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/ame.election.html

とした記事を投稿したが、想定される北朝鮮のこの切り札を十分踏まえたうえで、オバマ政権スタッフと李明博政権には事態への対処にあたるよう警告したい。


    ■ アフガン情勢での米兵力分散と在韓米軍の処遇

緊迫する朝鮮半島情勢では、アメリカ軍や北朝鮮軍などの軍事的戦術の情報やアメリカの北朝鮮政策、ウィキリークスが伝えた朝鮮半島の南北統一構想に関する断片情報などに関心が高まっていると思う。しかしこれらについて述べる前に、朝鮮半島情勢を米軍における南アジア戦略とのバランスから捉え、在韓米軍の米軍全体での管理体制からの位置づけを見て、アメリカ軍とオバマ政権について今後の北朝鮮政策と軍事行動の予測を考える全体的背景として、理解しておきたい。

12月2日の毎日新聞によれば、軍関係者や専門家の間ではオバマ政権が軍事力行使に踏み出さないという見方が強いという。その理由を4つ挙げ、ヽ忙楡澆鬚垢戮毒撃できない、∨鳴鮮の反撃を予測するのが極めて難しい、8堕蠕鐐茲ら全面戦争へ発展する恐れがある、に賃腓丙眄赤字による米国の内政の行き詰まりとしている。

私はこれらの理由に更に2つを付け加えたい。一つは2011年7月に開始が公約されているアフガニスタンからの米軍撤退による情勢の更なる悪化、もうひとつは、朝鮮半島におけるペンタゴンの思惑だ。

現在アフガニスタン情勢は悪化を続けており、2011年7月と公約されていたアフガン撤退開始の戦略の見直しが12月13日の週に公表される(ブルーグバーグ12月3日)。2010年10月末に出された米ハドソン研究所の日高義樹氏の最新の著作レポートでは、現在カルザイ大統領はタリバンやアルカイダと和平工作を進めているという(『アメリカにはもう頼れない』)。そしてオバマが一番恐れていることは、カルザイ政権がタリバンやアルカイダと同盟体制を作り上げてしまうことだとされている。
米軍のアフガンからの「2011年7月撤退開始」については、駐留米軍のペトレアス司令官が反対し、イギリス軍リチャーズ参謀総長は2015年以降もイギリス軍の戦闘が必要であると発言している(毎日11月11日)。

「アフガニスタン戦争における多国籍軍の死者」(推移グラフ)
 http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nobu/iraq/casualty_A.htm

オバマは朝鮮半島情勢が緊迫する中で、12月3日にカルザイ大統領と会談する目的でアフガニスタンをメディアに事前告知せずに訪問した(ブルーグバーグ12月3日)。オバマが政権当初で国民に約束した「2011年7月撤退開始」の見直しをすれば、オバマの政治的支持母体である労働組合や学生進歩派グループが反対運動をおこすことになる。国内経済と外交・軍事問題が深刻化し、ワシントンではすでにオバマが再選を断念したという噂が流れている(日高著作レポート 2010月10月刊)。アフガニスタン戦争の情勢の悪化と敗北はオバマの大統領選での落選を決定的にする。

更に、アフガニスタンでの米軍の敗北は南アジア全体に波及し、パキスタン軍部の民族主義的台頭をまねき、それによりインドとパキスタンの対立が激しくなり、アメリカと共に中国も巻き込まれ南アジア全体が混乱することが予測されている(『米中軍事同盟が始まる』 日高義樹著 2010年1月刊)。

そのような状況下で北朝鮮による延坪島砲撃がおきたのだが、今年7月26日にウィキリークスによって、北朝鮮が2005年にアルカイダとタリバンに地対空ミサイルを売り渡していたという機密報告書が公開されている。「米連合軍航空機を攻撃できる遠隔操縦ロケット」、肩着式地対空ミサイルが売り渡されていたと推定する内容で、掲載されたワシントンポストでは、専門家らが「北朝鮮のアフガン武器取引はアフガン戦を遂行する米軍の戦力を弱化させる」と述べたそうだ。

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=131589

敵軍の兵力分散は軍事戦術の基本であるが、イラン、パキスタンと連携する北朝鮮は地対空ミサイルの供与によってアフガニスタンのタリバン・アルカイダと連携し、オバマ政権の軍事力を大きく低下させる戦略を現在も実行していると見るのは、軍事インテリジェンスとして当然な見方だ。この兵力分散の戦略を外交・軍事面で最大限に発揮している代表例が中国共産党であり、他のアメリカの敵対国とアルカイダにとってもこれが定石となっている。

大規模レベルの二正面作戦がアメリカ軍に困難な状況下での、北朝鮮による延坪島砲撃は、オバマ政権の軍事・外交チームにとって非常な難題となっている。

北朝鮮問題でオバマ政権が軍事力行使に踏み出せないという見方のもう一つの理由は、北朝鮮との戦争で北朝鮮を敗戦させるとアメリカ軍は朝鮮半島から撤退せねばならず、対中国戦略上の損失であるということと、アメリカ陸軍の大半を占める在韓米軍の移転先と移転にかかる膨大な費用の財源をどうするかという難しい問題が存在していることだ。在韓米軍の撤退に強く反対しているのは、ペンタゴン、アメリカ軍幹部、CIA、国防関係者だ(『オバマ外交で沈没する日本』 日高義樹著 2009年6月刊)。

今年3月におきた韓国哨戒艦「天安」沈没事件ではネット上に陰謀論が流れたが、韓国軍の有事統制権は「天安」沈没事件により、6月の会談で韓国への移管時期を2015年12月1日と延期することでアメリカと合意することになった。


※次回のブログでは特に大きな状況の変化がない限り、アメリカ軍と北朝鮮軍の軍事的戦術についての情報やアメリカの北朝鮮政策、ウィキリークスが伝えた朝鮮半島での南北統一構想に関する米中高官が発した断片情報について述べてみたいと予定しています。


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http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html
張 良

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執筆予定 2019.8.20 記
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